RGB値を用いた新しいブラック・ホワイト企業の診断方法「RGB企業診断」

あなたの会社、白黒はっきりつけられますか?

概要

数多くの会社が存在する現代社会で、悪しき会社をブラック企業、良き会社をホワイト企業と呼ぶ風潮がありますが、この二つだけで会社というものを判断するのは不十分に感じられます。会社を正確に評価するにはより基準を細分化する必要なのではないでしょうか。

当研究では、RGB値と呼ばれる色を数値化した指数を用いることで、より客観的かつ直観的に会社の労働環境を評価できるツールのプロトタイプを開発いたしました。

背景

ブラック企業ってなんだ?

ブラック‐きぎょう〔‐キゲフ〕【ブラック企業】
労働条件や就業環境が劣悪で、従業員に過重な負担を強いる企業や法人。長時間労働や過剰なノルマの常態化、セクハラやパワハラの放置、法令に抵触する営業行為の強要といった反社会的な実態がある。ブラック会社。⇔ホワイト企業
引用元:goo辞書「ブラック企業」

皆さんはブラック企業という言葉をご存じでしょうか?
この言葉はもともとはネットを中心に使用されており、いわゆるネットスラングと呼ばれるものでした。しかし、近年、サービス残業やワーキングプアなどが社会的に問題視され、徐々に世間にブラック企業という言葉が浸透していきました。そして 2013 年には流行語大賞にもノミネートされました。また、その 5 年後の 2018 年には広辞苑にも掲載されるようになり、より身近な言葉として我々の日常に存在しているといえます。

そもそもブラック企業というものはどういうものなのでしょうか?
言葉からイメージされるのは長時間労働、低賃金、コンプライアンス違反などがあげられますが、そのほかにどういった基準があるのか、調査いたしました。

例えば 2012 年から始まった企画「ブラック企業大賞」では下記を選考基準とし総合的にブラック企業であるか判断しています。

【ブラック企業を見極める指標】
●長時間労働
●セクハラ・パワハラ
●いじめ
●長時間過密労働
●低賃金
●コンプライアンス違反
●育休・産休などの制度の不備
●労組への敵対度
●派遣差別
●派遣依存度
●残業代未払い(求人票でウソ)
※ただし多くのブラック企業が上記の問題を複合的に持っているので、判断する際も総合的に判断する。
URL : ブラック企業大賞: ブラック企業大賞とは(blackcorpaward.blogspot.com)

これは…ブラック企業…?

ブラック企業大賞に選考されるほどに悪質な労働環境であれば、胸を張って「ブラック企業だ!」といえるのかもしれません。

しかし、全ての人が同じ企業を同じように「ブラック企業だ」と思うのでしょうか。例えばこちらのtweetとreplyを見てみましょう。

日本には 36 協定という残業をさせる際に経営者側が守らなくてはいけない法律があるのですが、この法により、一年間の残業時間は特別な場合を除いて、360 時間を超えてはいけないとされています。
そのため法律上、このツイート主は残業時間に限って言えばホワイトではなく、比較的ブラック企業に近いと言って良いでしょう。

続くreplyでは労働時間は問題なくとも、給料が少ないのを問題視していて、その次のreplyでは「ハラスメント」の観点からブラックな感じが漂っています。

このように人が「ブラック企業だ」と感じる基準にはいくつかのバリエーションがあり、ブラック企業かを判断するためには、それらを複合的に見る必要があります。

また、この tweet 達のように、ブラック企業とホワイト企業の中間である会社をしっかりとした基準をもって判断する方法がないことが労働環境の客観的な評価を困難にしている要因の一つであると考えられます。

そこで、ブラック企業、ホワイト企業という色を用いた表現で企業の労働環境を評価する実情から、RGB 値という、色を数値化した値に着目しました。


RGB とは、赤、緑、青の三色の濃さを示しており、0~255の範囲の値を取ります。そして、0に近づくほど濃くなる性質を持っています。この世のあらゆる色はこのRGBという数値で表すことができます。

そして、赤、緑、青の値が0、すなわち最も濃くなった際に黒色になります。

つまり、3つの要素で0点を取った企業は黒色のブラック企業、逆に100点を取った企業が白色のホワイト企業、となるような指標がつくれるのではないかと考えました。

それが「RGB企業診断」です。

白と黒の間を診断する「RGB企業診断」

RGBは3つの指標が必要になるため、「ブラック企業大賞」を参考にそれらを定義してみました。

・残業時間(R)
・企業倫理(G)
・給料(B)

の三つが重要視されると考え、それぞれ赤、緑、青に振り分けます。

そこで、この3つを数値化することで、色による企業の判断を行えるのではないかと考え、それぞれの数値からRGBに変換し、ブラック企業かどうか判断できるツールのプロトタイプを開発しました。

それぞれについて、説明します。

残業時間(R)

まず【残業時間】からです。

上記で述べている通り、労働基準法では月平均残業時間は30時間を上限としております。業務に重大な異常をきたす、など特別な理由があれば、45時間以上の残業が許されますが、100時間を超える残業は法律では許されていません。

また、厚労省が事業所を対象に平均残業時間を調査したところ、おおよそ10.6 時間程度であるということが判明しました。職種や業務内容によって平均はおおよそ変動するかとは思いますが、今回は、10.6 時間を中間として採用します。

参考文献:pdf01cr.pdf (mhlw.go.jp)

以上から、上限を100時間とし、20~45時間を労働時間多め、10時間を中間、それ以下をホワイトと仮定し、それぞれの残業時間、ブラック度合をプロット化し、グラフに落とし込みました。

黄色部分のセルに残業時間を入力すると、自動的にブラック度合とRGB値が算出されるツールを作成しました。

ここで使用されている「ブラック度合」は百分率で数値化したもので、100点に近づくことほどブラックとなり、直観的にどれほどブラックであるかを確認できる指標として用意いたしました。

企業倫理(G)

次に【企業倫理】です。

パワハラや、セクハラなどをはじめとしたハラスメントが近年社会的に問題視されています。それだけでなく、データ改ざんや虚偽報告などが大きなニュースとして取り上げられたり、企業の倫理観が重要視されています。現在コンプライアンス研修に力を入れている企業も少なくありません。

逆にホワイト企業では、社員の働きやすさを重視しており、住宅補助や子育て支援制度などの福利厚生の整備、年間休日などを積極的に導入しています。

それらを得点方式で、加点、減点することで、ブラック企業よりか、ホワイト企業よりかを判断することができると考えました。初期点数を中間に置き、パワハラ、セクハラがあればブラック側に、福利厚生の充実などがあればホワイト企業側に偏るような指標になっています。

また、福利厚生が充実していればパワハラ、セクハラをしてもホワイト企業になる、というのも変なので、よく社会的に問題になっている、サービス残業、パワハラ、セクハラなどのハラスメント、いじめなどは重みをつけており、一つでも当てはまったらほぼ間違いなくブラックになるような作りにしています。

項目ごとにチェックを入れることで企業倫理のブラック度合、RGB値が決定いたします。

給料(B)

最後に【給料】です。

何のために働くか?と問われた際の回答は人それぞれではありますが、そのうちの一つとして、【お金を稼ぐため】という理由は確実に存在します。

対価のない労働には責任が生じず、価値のある労働にはそれに見合った報酬が得られる、という考え方が一般に浸透しているように感じます。

しかし、ブラック企業で働く人の中には、無賃金とまではいかないものの、生活するにも厳しいほどの低い収入であるケースは少なくないでしょう。

そんなわけで、年収と年間休日、平均残業時間から、時給を簡易的に計算できるツールを開発しました。次に、得られた時給がブラックかホワイトか判断するツールを制作します。

基準としては、日本の最低賃金円以下をブラックとしました。

次に平均値として、平均年収、平均年間休日、平均残業時間、一日の労働時間を8時間とし、これを一般的な社会人の時給として換算し、中間点としました。

最後に年収1000万円、労働時間は大体平均的であると仮定した際の時給をホワイトといたしました。

それらをプロットすることで、上記で出力された時給を判断するツールを作成いたしました。

以上、これら三つの要素からRGB値を算出し、得られた色がその企業の働きかたの色ということになります。

実際のファイルを下記に掲示いたしましたので、ぜひお試しください。

実践①

実践編として、実際に存在する企業のデータを調査し、入力することで、このRGB企業判断ツールが正常に起動しているか、確認を行いました。

まずはブラック企業大賞にノミネートされた会社、すなわち、世間的にブラック企業として認知されている会社、そしてホワイト企業大賞にノミネートされた会社で確認してみます。

※転職サイトの評価やwebサイトでの記述を参考にしているため、今回の結果が正当に反映されているかはわかりませんのでご注意ください。

まずは、過去にブラック企業大賞にノミネートされた、会社複数で確認してみました。

・株式会社M

⇒RGB値 R : 0, G : 0, B : 148

黒っぽいですが、完全に黒ではないようです。労働時間や倫理は終わってますが、給料は高かったため、青っぽい色になりました。続いてほかの会社も見てみましょう。

・株式会社D

⇒RGB値 R : 0, G : 0, B : 38

こちらも先ほどよりだいぶ黒いですが、完全な黒ではなさそうです。

さすがブラック企業大賞ノミネート企業です。ブラック企業界のドライブ・マイ・カーと言っても過言ではないでしょう。

今回得られた結果から考えると、残業時間、企業倫理は真っ黒だけど、給料はしっかり支払う、という会社は世間的にはブラック企業という判断がなされますが、このRGB診断結果からは、黒よりの青色に傾向になると思われます。

以上から、ブラック企業といわれるような会社でも序列が存在することが示唆されました。(だからと言って薄い色のブラック企業であっても許されるわけではありませんが。。。)

ブラック企業について調べすぎて体調が悪くなってきたので、気分転換にホワイト企業で検索した時に上位に浮上した会社を何個か調べ、インターネッツで調べたもとに入力してみました。

・M株式会社

⇒RGB値 R : 255, G : 255, B : 163

おお!かなり白っぽい色をしていますね。

ただ、ブラック企業と同様、ホワイト企業といえど完全な白色になるわけでないようです。
それでも、ホワイト企業ランキング上位についても、RGB企業診断で白っぽい色になることが確認されました。(嫉妬で体調が悪くなりました)

以上から、ブラック企業は黒に近く、ホワイト企業は白になりやすいことが確認でき、このツールにはある程度問題なく動いていることが確認されました。

今後の展望

さて、RGB企業診断はある程度完成したわけですが、これがあればどんな風に世の中が変わっていくでしょうか、皆さんに少し未来についてお話ししましょう。(ジョンタイター!?)

①RGB企業診断を使った【四季報】ならぬ

このRGB診断を使えば、その企業がどんな色(働き方)をしているかが分かり、求職者が希望する働き方の色を簡単に選択することができます。

これって何かに似ていませんか?そう。就活生ご用達の【四季報】です!
RGB診断があれば四季報ならぬ、色報により自分が希望する働き方に近い会社を色を見て直観的に見つけることができます。

逆に企業側も業界の立ち位置が把握できるようになるため、人事計画や働き方改革を行う目安としても使えるでしょう。
また、求める人材の働き方をある程度可視化することができるので、就職後のギャップを小さくすることができるかもしれません。

②一目瞭然!RGB企業合同説明会!

RGB企業診断を使えば、会社ごとに働き方を色で表現することが可能となります。その色を軸にした、合同企業説明会を実施すれば、たくさんの企業が集まっている中でもより直観的に自分にあった会社を見つけやすくなることでしょう。

例えば、ブースや企業側参加者の服の色、パンフレットや名刺の色などを企業の診断結果の色にすることで、就活生は一目で自分にあった会社を見つけることができます。

※多分ホワイトな企業があればそこにみんな集中すると思いますし、多分僕もそうします。でも全員がホワイトを求めるわけじゃないと思うのでセーフとさせてください。

まとめ

さて、実際にRGB企業診断を作成し、実践してみた結果ですが、ブラック企業と呼ばれる会社でも、給料面では良い、など、完全に真っ黒になる会社は意外と少ないことが分かりました。

また、ホワイト企業も同様で、完全に真っ白になるような会社はほとんど存在しないと思いました。

結局、ブラック企業、ホワイト企業というよりも、ビリジアンブルー企業が良い、赤茶企業ならやっていけそう、など、自分が求めるものや耐え切れない要素が何か?ということをこのRGB企業診断を使って多面的に見ることが重要なのかもしれません。

しかし、このRGB診断もかなり作りが甘いのが現状です。多分試しにやった人にはバレてると思います。なので、ブラック企業スペシャリストなどから話を伺い、この診断方法をよりブラッシュアップしていくことが本研究の今後の目標となることでしょう。


この研究に参加したメンバー

すぎのふ
岡シャニカマ

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