ZOOMの背景で誰でも笑いが取れる方法を考える
目次
研究の背景と概要
このレポートではプロのお笑い芸人ではなく『完全なる一般人』がオンライン会議において実現可能な「ボケ方」を探究すべく、数回にわたる実験と考察の結果を報告するものです。
新型コロナウイルスの拡大に伴い社会は著しく変容しましたが、こと職場においては「テレワーク(またはリモートワーク)」の普及が大きな変化となりました。しかし、その結果対面コミュニケーションで成り立っていたものが通用せず、社内での信頼関係にも影響を及ぼし始めています。
「マイナビニュース」の調査によると外出自粛によって「仕事での人間関係」がネガティブに変化したことを裏付けるデータが紹介されています。
Q.どういった人間関係に変化を感じたかを教えてください(複数選択可)
引用元:外出自粛で変わった人間関係〜ネガティブ編〜 | マイナビニュース
→ 全体の6割以上が人間関係に変化があったと感じ、約3割が「仕事での人間関係」がネガティブになったと回答
つまりこれは「職場でのボケ方」「笑いの取り方」にも変化が生じており、何らかの対応をしていかねばならないことを示しています。そこで今回は一般人ができ得るオンライン会議での「ボケ方」について調査・実験し、有効なボケ方を考察することを目的とします。
被験者:武藤崇史(完全なる一般人)
本研究の調査において一般人代表としてボケてもらうのは弊社社員の武藤崇史氏です。彼は卓越したトークスキル、モノマネなどの宴会芸、鉄板一発ギャグなど一切持ち合わせていない純粋な「お笑い一般人」であり、被験者として最適な人材と言えるでしょう。
実証実験
仮説:適切な背景動画を使用すれば武藤崇史もボケられるはずである
「ボケ方」が成功か否かを判断する判断材料は身内(社内)でのウケ方ではなく、SNSという不特定多数の人間が閲覧した上での反応を採用します。そこで今回は株式会社人間の公式アカウントから投稿した武藤氏出演のZoomコント動画を公開し、その結果がどうであったかを検証します。
(図式:人間>SNS反応 ◯×)
検証結果をふまえて「成功例」と呼べるものから成功要因を抽出し、最終的に「一般人がオンラインで使える有効なボケ方」としてまとめます。
実験1「ゴースト出席」
4月22日 15:46に投稿。映像のバーチャル背景を使って、延々と頷き続けるダミーの出席者を配置。上手くサボることができた本人は後から“してやったり顔”で登場する。
実験2「後ろ後ろ!」
4月28日 21:23に投稿。映像のバーチャル背景を使って、会議中背後からもう1人の自分が覗いている模様を再現。他の出席者から「後ろ後ろ!」と『ドリフ大爆笑』を彷彿させるシンプルなツッコミを誘発する。
実験3「自作 the end」
月3日 9:19に投稿。映像のバーチャル背景を使って、会議の途中から勝手にエンドロールを流し、面倒な会議を終わる雰囲気にさせる。
考察
実験結果をふまえて、一般人がボケる際に重要となるポイントは「シンプル」と「エゴ」であると、私は考えました。
シンプル
まず、お笑いに関して特別なスキルの無い一般人がボケる場合、最も重要な問題は「ボケているのか分からない」という問題です。
お笑い芸人のように「面白いことを言う人」という前提が共有されていない中では、どんなに面白くても複雑なボケをしてしまうと本気なのか狙っているのかが判断できません。
そのため明らかにボケていることが伝わるようにする必要があります。
つまりボケをシンプルで明らかにおかしい言動に研ぎ澄ますことで、そのボケを認識してもらうことが出来るのです。
エゴ
一般人がボケる際に最も適した動機は純粋な「エゴ」です。自身の浅はかな「楽したい」「やりすごしたい」というエゴを剥き出しにすることで、その行為が滑稽で可愛げのあるものに見えてきます。
今回の検証でいえば「会議を終わらせたい」「参加せずにやりすごしたい」などがエゴにあたります。
もしかしてこれって「Mr.ビーン」が参考になるのでは
「シンプル」と「エゴ」の2点を満たす事例としてイギリスの人気コメディ『Mr.ビーン』をご紹介します。誰もが知っている喜劇の鉄板ですが、このビーンもまたボケがシンプルで、ビーンのエゴがふんだんに表れた作品です。
ビーンは病院までスムーズに車を運転するため救急車の後ろに併走したり、テストで隣の答案をカンニングするためにわざとペンを落としたりします。その大胆さとくだらなさがシンプルでエゴイスティックだからこそ、国境を越えて笑いを届けられているのかもしれません。
結果を元にさらに実験
研究の最後に「シンプル」と「エゴ」が本当に一般人がオンラインでボケる際に重要な要素なのかを立証するため、新作のZoomコントを作成しました。内容は『会議中バレずにビッグマックを食べる』というものです。
実験4「オンライン早弁」
公開から丸一日を経た10月1日(木) 16:46時点でいいねは34件、RTは6件(うち2件は岡と武藤)という結果になりました。誰かから称賛されたという事実もなく、武藤の奥さんが「面白かった」と言ってくれたのみとなりました。
定性的にも、定量的にも、失敗と言えるでしょう。
まとめ
人は残酷なまでに飽きる生き物だった。
なぜ、これまで完全な素人にしては大ヒットと言っても良いほど評価されていたコンテンツが、かくようにスベってしまったのでしょうか。
1つは世間に「オンライン会議」や「Zoom」が浸透したことにより新鮮さが失われたことが原因と言えるでしょう。また、武藤と著者自身がこの「Zoomコント」というフォーマットに飽きてしまい、初々しさなど素人ならではの良さが失われたことも一因と考えられます。
人類は変わりゆく地球の環境に対応しながら生存してきた生物です。笑いを撮り続けられる絶対的な法則なんてものがそもそも架空(バーチャル)の産物だったのかもしれません。