「赤ちゃんギター」子育てが楽しくなる楽器制作

概要

赤ちゃんを寝かしつける仕草は、どこかギターを演奏している姿に似ていると思いませんか。子守唄をささやくように歌いながら、ゆったりと左右にゆれる姿は、まるでギターの弾き語りそのもの。

そんな発見から誕生した楽器が「赤ちゃんギター」。ゆらゆらと赤ちゃんをあやす動作で音が奏でられ、揺らす向きによって音程がかわります。本研究では赤ちゃんギターを制作し、実際に演奏してみて、日常にどんな変化が生まれるかを検証しました。

実験内容

背景

今年、我が家に息子が生まれました。初めての子育ては刺激的で楽しい反面、大変なことも沢山。特に苦労しているのが、赤ちゃんの寝かしつけです。腕に子どもを抱きながら子守唄を歌うのですが、なかなか思い通りには寝てくれません。ようやく寝たと思っても、ベッドに置くと同時に起きてしまい、もう一度抱きかかえる、、そんな日常を過ごしています。

ある調査によると、一日の中で子どもを抱っこしている時間が「3時間以上」の家庭が全体の35%もいるといいます。それ以外の家庭も1時間以上は抱っこしている家庭が7割以上。

わたしたち大人が子育てを楽しむためには、もっと「抱っこの時間」と向き合う必要があるのかもしれません。

アイデア

「子どものための抱っこの時間」を「保護者も嬉しい時間」に変えるアイデアとして、『赤ちゃんギター』を考案しました。

『赤ちゃんギター』は、子どもをあやす動きで演奏するギターです。左手で弦を押さえるかわりに、揺らす方向や強さを変えて、色んな種類の音程を奏でることができます。

抱っこをすればするほど、大人は演奏がうまくなって楽しい、赤ちゃんも触れ合ってもらえて嬉しい。この赤ちゃんギターで「抱っこの時間」が、両者にとって幸せな時間に変わると考えました。

赤ちゃんギター

実演

「赤ちゃんギター」紹介映像

いかがでしょうか?腰や膝を使って赤ちゃんをゆったりと揺らすことで、カントリーロードを演奏できました。今回は3つのコードを設定しましたが、音がなる条件を増やすことで、もっと複雑な曲の演奏も可能となります。

仕組み

赤ちゃんギターの仕組みは上図のとおり。ジャイロセンサーと加速度センサーで赤ちゃんの揺れの向きを検知し、その結果をMIDI信号としてパソコンへ送信。パソコン内の作曲アプリでギター音を出力します。

作り方

①赤ちゃんギターのプログラミング

本研究ではM5Stack GrayとM5Stack用MIDIモジュール2を使用し、揺れの検知とMIDI信号への変換機能をプログラミングしました。

M5Stack Gray(9軸IMU搭載)
M5Stack用MIDIモジュール2

揺れる方向で異なる音が鳴るようにプログラミング
②抱っこ紐への固定

モジュールを抱っこひもにマジックテープで固定します。マジックテープにすることで赤ちゃんの姿勢が変わったときに、付け直しがしやすくなります。

抱っこひもにマジックテープで固定
③赤ちゃんにギターのヘッドを取り付ける

ヘッド型カチューシャを赤ちゃんに取り付けます。ヘッドには音を鳴らす機能はありませんが、このパーツのおかげで赤ちゃんギターがよりギターらしくなります。

赤ちゃんギターのギター味が増しました

まとめ

赤ちゃんギターを実際に作ったことで、我が家では楽しく触れ合える時間が増えました。ある日の撮影では、赤ちゃんギターの演奏を繰り返している間に、息子がウトウトと眠ってしまい撮影が中断したこともありました。まさにこの研究の趣旨としては「成功」といえるのではないでしょうか。

これからも子育てが楽しくなる楽器作りに挑戦し、子育てに励む大人たちを応援するアイデアを実験・研究していきたいと思います。

この「赤ちゃんギター」をぜひ商品化してみたい、一緒にステージを作りたいという企業・団体がいましたらお問合せにご連絡ください。


この研究に参加したメンバー

武藤崇史
河本裕介
松尾聡

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